2016年2月6日土曜日

僕が「悪ドラ会」に参加して感じたことをまとめてみた

正月も職場で過ごす憂鬱な昼休み。仕事をしているフリをして箱根駅伝をネットで追っていたところ、見覚えのない名前が僕のメッセンジャーにやってきた。
嫌がらせ? と思ったのもつかの間、アイコンには見覚えがあった。「C大学出身でラガーシャツ着ているシオカワさんがそういるとは思えない」。そして、彼のお誘いの内容にもまた驚かされたのだった――。

悪魔とドライヴ
悪魔とドライヴ
posted with amazlet at 16.02.06
人格OverDrive (2016-02-14)



というわけで、今回は2月14日にKindleストアにて発売されるヘリベマルヲ氏の著書「悪魔とドライヴ」について、僕が「見てきた」ことを残していこうと思う。

そもそも僕とヘリベ氏が接点を持ったのは、月刊群雛15年4月号である。氏は拙作「追い続ければ、いつかまた逢える」を読んでくださり、それ以降何度かブログ上でもいじって下さった。ヘリマル文学賞スポーツエッセイ部門を受賞した(※自称)のは、当方の数少ない栄誉である。
その号で氏は「悪魔とドライヴ」という短編小説を掲載していた。正月のメールはそれに関するお誘いだった。
これは長編作品の一部であり、物語はもっと続いている。それが完成して発売するのに伴い、色々な人を集めて校正をしている。それが「『悪魔とドライヴ』刊行準備委員会」(通称:悪ドラ会)なんだ……と。
「悪魔とドライヴ」は「フーチー・クーチー・マン」までは群雛の紙面上で拝読している。その後は公式サイト上で連載を続けていたが、実を言うと、読むのはまちまちでそこまで真剣に内容を追っていなかった(※本会に誘われたのを機に、改めて一生懸命内容を追ったのは言うまでもない)。

家に帰ってメンバーを確認し、再び腰を抜かした。本会のメンバーはセルフパブリッシング会の著名人が勢ぞろい。あっ、この方が○○○さんなんだ! という嬉しい発見もあった。とは言え、有料本が一冊売れる度に小躍りしている僕が居て良いのだろうか……と思いつつ、図々しく今日まで名を連ねさせて頂いている。

本会は先にも述べた通り、いわゆる「校正互助会システム」という側面が強い。みんなで作品を読みあい、指摘や感想をわいわいポストしながら、最終的にはヘリベ氏が書き直し、再びEpubデータをアップロードする。一連の作業はこのように流れていった。

様々なポストを見て、再び衝撃を受けた。みんな「読み方」が深い。常々「セルフパブリッシングは読むのも大事」云々と述べていたが、実際に自分はちゃんとやっているのか? と大いに反省せざるを得なかった。本会と本作のお陰で、1月の書籍購入費用が跳ね上がったのは言うまでもない(それらを読んでいるとは言っていない)。

メンバーには校正をお仕事にされている方やイラスト/表紙作成が得意な方もおり、それぞれの立場から作品をブラッシュアップしていた。各々が自らの得意分野から提言し、作品に反映させる。前向きなサイクルがそこには回っていた。
さて、僕は? という話になるのだが、思いがけない途中出場の中でも、とりあえず2行分くらいは影響力を発揮できたと勝手に思っている。僕が本会に投稿したことは、多分あの場では数少ない群雛経由の読者だからこその意見だと自負させていただければなと。

ここまで本会の内容について説明してきたが、肝心の本の内容は? と気になる方もいるだろう。そのレビューは……発売後にしようかな笑
一つヒントを挙げたいと思う。この作品を最初に手に取る方はセルフパブリッシングの関係者だろう。そんな自覚があるのであれば、ぜひ赤いボールペンを握りしめた獄門島ちありが、久太郎の原稿とどう向き合っているのかを注視して欲しい。ハードボイルドな恋愛小説という佇まいの中に、もう一つのメッセージが含まれているのだ。






この会のあれこれを眺めていく中で、僕の中で2つの風景が思い浮かんだ。

まず、「悪ドラ会」の作業風景に、僕は「良いラグビーチーム」の姿を投影してしまった。ラグビーは自分自身に「○○ができる」という自信さえあれば、体型関係なく参加できる。チビ、のっぽ、お痩せ、デブとあらゆる体型の人間に何かしらの適切なポジションを付与されるルールになっているからだ(もちろん、それ相応の体力と筋力は必要だが)。
このチームで決まっていたのは最後にボールを預け、トライを決める人間(=作者が自らの手で物語を直す)くらいだった。でもって、トライゲッターは柔軟に意見を汲み、反映させていった。作品と向き合い、時には悩み苦しむそのリアルな姿に、「ちょっと怖い」と思っていたヘリベ氏のイメージは覆された

そして、最初のメールで「集団で校正をする」という言葉を目にしたとき、大学時代に所属していたスポーツ新聞部の記憶が蘇った。Nスポーツ新聞社の一室を借り、僕ら部員は記事を書き、紙面へと流し込み、赤字を入れていった。
キャッキャウフフと楽しくお喋りをしながら……という訳にもいかず、毎回何かしらの修羅場はあった。校了間近になると、疲れや焦りでバタバタしていた。一度直した記事をまた戻すとか、変なミスに気がついて記事を10行近く減らす羽目になったとか、とにかく色々起こった。僕は紙面作成が大の苦手で、紙面担当者になると毎日夜遅くまで残っていた。広告営業担当でもあったので、新規掲載の飛び込み営業や、それが成功したあとのデータや契約書のやり取りも大変だった。

そんな忙しい割には学校からの見返りも大して貰える訳でもない新聞部だったが、辛いとか辞めようとか思ったことは一切無かった(同期の編集長は辞めたいっていつもぼやいてたけど)。
皆で作品に矢印を向け、一心不乱にかたちにしていく。それだけで楽しかった。
そして僕の予感どおり、「悪ドラ会」にも似たようなベクトルが働いていた。

新聞部時代の熱が僕のセルフパブリッシングの原点だと思うのだが、「悪ドラ会」はその熱を別の側面から思い出させてくれた。それに対する感謝の念は絶えない。あまり有益なサポートはしていないのだが……その代替として、本会で得た熱を各方面に伝えていければと思っている

そんなわけで、おやすみ全世界!

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