2015年5月24日日曜日

【競馬】懐疑と確信の優駿牝馬 #kdp60



競馬予想は「人気馬を疑う」事からスタートする。

ひとつ例を挙げよう。ある3歳の牝馬が初めてのG1レースに挑むことになった。
ここまでの戦績は3戦3勝。2戦目は当該コースの2歳馬では最速のレコードタイムであり、3戦目は当該レースでは59年ぶりの牝馬による制覇となった。もちろん、彼女は4戦目も堂々の1番人気に推されていた。

しかし、ここで僕はこの大人気馬を疑った。
彼女は今回の舞台、阪神競馬場も1マイルという距離も初めてだ。彼女をスターダムに押し上げた3戦目も、他の牡馬たちのその後の成績が連戦連敗ということを考えれば疑問符が付く。入った枠が丁度真ん中というのも、外枠有利の阪神ではプラスにはならない。そして、「鞍上は1番人気の時は滅法弱い」というジンクスも、彼が大井競馬場に居た時から知っている……。

かくして僕はこの1番人気馬――その名はルージュバック――を馬券の対象から外した。彼女はこの桜花賞というレースに勇敢に挑んだが、結果は9着。「彼女は人気ほど強くはない」という僕の疑いは、こうして正しいと証明された。

このように、出走馬を疑い、馬券の対象から外すのは難しい事では無い。様々なファクターを総合的に分別し、冷静に判断する事が大事なのである。

が、これが「本当に強い馬だと信じる」事になると、急に難しくなる。そもそも、「人気馬を疑い、単勝馬券の対象から消す」ことが正しいと証明される確率は(桜花賞の場合)【17/18】である。外れる方が難しいのだ。(一応記すが、「桜花賞の勝馬を単勝馬券で的中させる」確率は【1/18】)
僕はこのレースで選んだ本命はココロノアイ。この2番人気馬はルージュバックの一つ下の順位でゴールした。

明日は3歳牝馬クラシックの第2戦、オークス。東京競馬場の2400メートルコースが舞台だ。
さあ、出馬表を見てみよう。前例のないスローペースでまんまと逃げきった桜花賞馬・レッツゴードンキは本当に強いのか? いや、桜花賞で全力を出せなかったルージュバックやココロノアイは今回こそ復活するんじゃないか? 桜花賞前は無敗だったクイーンズリングやキャットコインも怖いぞ? 数こそ少ないが、他路線組も絡みそう? そう言えば、先週大荒れを演じた立役者、エダテルオはまた最下位人気じゃないですか……

華やかな舞台設定とは裏腹に、競馬ファンたちの疑心暗鬼は深まるばかりだ。
冷静な視点で疑うのも結構だが、そろそろ素直に女の子を信じてみたいのだが。さて、僕のアンビバレンスな心情は上手く調和し、馬券へとしっかり反映できるだろうか。その答えは、明日現地で確認しようと思っている

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※本作は「KDP作家版 深夜の執筆60分一本勝負」 お題「疑い」の参加作品です

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